FPS(ファーストパーソンシューター)というジャンルは、Youtubeなどの動画サイトを漁ればたくさん出てくるように、近年のe-sportsやバトルロイヤルゲームの隆盛と相まって地域を問わず主流ジャンルのひとつだろう。
日本ではあまり活発でなかったこのジャンルは、ここ10年くらいで日本でも定着したようだ。
では2020現在、大量に存在する作品の中でどの作品をプレイすればFPSが理解しやすいだろうか。
そのような疑問から初めてプレイする【家庭用ゲーム機でのFPS】を調べ始めた。
結果、最初に手にしたのはHalo:Combat Evolved(2001/Bungie/Xbox)。
以下は、どのようにHalo:CEに行き着いたのかのメモ。
FPS(ファーストパーソンシューター)とは
【プレーヤー本人視点で空間を移動してアクションするゲーム】の総称である。
初期のFPSであるDOOM(1993/id Software/PC)はよくその名を目にしていたが、ビジュアルに古臭さを感じたこともあり実際プレイしたことはなかった。1990年代当時の日本および世界的な状況は知る由もなかったが、家庭用ゲーム機に限れば人気のあるジャンルではなかったように記憶している。
そこでまず、FPSの定義について調べた。
プレーヤー(ファーストパーソン/一人称)視点を説明したジャンル名である。シューターとあるので射撃作に限るのかと思っていたのだけれど、射撃に限定されず剣や素手でのアクション作も含まれるようで、一人称視点という部分が大きい。
ただし、移動がプレーヤーに委ねられることが前提になるため、バーチャコップ(1994/SEGA/AC)のような、移動が自動で射撃のみをプレーヤーが行う【ガンシューティング/オン-レールシューター】は外れる。
また、広くはエースコンバットシリーズ(1995〜/コナミ/プレイステーション)などのフライトシミュレーターも本人視点のシューターとして含まれるようだが、何作品か序盤をプレイしてみた感触の結果でしかないが今回はドライブゲームのほうに近い別ジャンルとして考え除外した。
FPSの成り立ち
現在FPSと呼ばれるジャンルのの地続きとしての原点はWolfenstein 3D(1992/id Software/PC※1)であり、さらに翌年に発売されたDOOMにある。
DOOMは開発元のid Softwareが非商用ライセンス下でオープンソースにしたことにより、多くのファンにより改造が行われ、そこからライセンスされた新たな作品も多く生まれている。(後にGNUライセンスとして提供された)
DOOM以降に発売された作品で著名なものとしては、
- Quake(1996/id Software/PC)
- Unreal(1998/Epic Games/PC)[現在の大手ゲームエンジンであるUnreal Engineの基礎]
- Half-Life(1998/Valve Software/PC)
- カウンターストライク(2000/Valve Software/PC)[元はHalf-LifeのMOD]
などが挙げられる。
(FPSに限った話しではないが)FPSは、元々PCゲームとして登場している。
そのため操作系はキーボードでの【移動】とマウスにる【視点(照準)】の操作を基本として設計されている。これが家庭用ゲーム機のコントローラーでの再現の難しさから定着するのに時間がかかった理由のひとつだろう。
※1 今回当時のMS-DOSやMacなどOSの区別はせず、一括して【PC】として扱っている。
家庭用ゲーム機におけるFPS
ここで家庭用ゲーム機における初期のFPSをざっと調べてみた。家庭用ゲーム機で3DCGへとシフトしたセガサターン、プレイステーションから追った。プレイステーション発売の1994年から10年分。
- クライムクラッカーズ(1994/SCE/プレイステーション)
- ジャンピングフラッシュ!(1995/エグザクト、ムームー/プレイステーション)
- ダイダロス(1995/GENKI,マイクロネット/セガサターン)
- スペースグリフォンVF-9 (1995/パンサーソフトウェア/プレイステーション)[PC版HAMLETの移植]
- 機動戦士ガンダム(1995/バンダイ/プレイステーション)
- ポエド(1995/Any Channel/3DO)
- キリーク・ザ・ブラッド(1995/GENKI/プレイステーション)
- Defcon 5(1995/Millennium Interactive/3DO・セガサターン・プレイステーション・PC)
- ゲン ウォー(1995/Jumpin’ Jack Software/セガサターン)
- ガングリフォン(1996/ゲームアーツ/セガサターン)
- 機動戦士ガンダム外伝 THE BLUE DESTINY(1996/バンダイ-BEC(BANDAI ENTERTAINMENT COMPANY)/セガサターン)
- ファラオの復活(1996/ロボトミーソフトウェア/セガサターン)
- 特捜機動隊ジェイスワット(1996/バンプレスト/セガサターン)
- エイリアントリロジー(1996/アクレイム/セガサターン・プレイステーション・PC)
- ディスラプター(1996/Insomniac Games/プレイステーション)
- クレイジーイワン(1996/Psygnosis/プレイステーション・セガサターン・PC)
- デススロットル(1996/Imagexcel/セガサターン)
- Blam! Machinehead(1996/Core Design/セガサターン・プレイステーション・PC)
- エネミーゼロ(1996/WARP/セガサターン)
- 007 ゴールデンアイ(1997/レア/ニンテンドー64)
- Lifeforce Tenka(1997/Psygnosis/プレイステーション)
- バロック(1998/スティング/セガサターン)
- Forsaken(1998/Probe Entertainment・Iguana Entertainment UK/プレイステーション・ニンテンドー64・PC)
- 魔剣X(1999/アトラス/ドリームキャスト)
- 機動戦士ガンダム外伝 コロニーの落ちた地で…(1999/バンダイ-BEC(BANDAI ENTERTAINMENT COMPANY/ドリームキャスト)
- アウトトリガー(1999/セガ/ドリームキャスト)[FPSとTPSが混在]
- アーモリンズ Project S.W.A.R.M.(2000/Acclaim Studios London/プレイステーション・ニンテンドー64・ゲームボーイアドバンス)
- パーフェクトダーク(2000/レア/ニンテンドー64)
- Halo:Combat Evolved(2001/Bungie/Xbox)
- Delta Force: Urban Warfare(2002/Rebellion Developments/プレイステーション)
- メトロイドプライム(2003/任天堂/ゲームキューブ)
- 007 ナイトファイア(2003/Eurocom/PS2)
※複数プラットフォームで発売されているものは発売の早いプラットフォームを主に挙げた。
※なるべくPCからの移植は避けた。
ファーストパーソンとして区切ると、意外と多くの作品が存在する。
書き出した中で明らかに評価が高いのが007 ゴールデンアイとHalo:Combat Evolvedだった。この時点でどちらかをプレイすることにした。自身のニンテンドー64は、程よいHDMI環境構築を決めきれず放置しているが、XBOX(XBOX Original)については環境が決まっていたためHalo:CEを選んだ。
その程度の理由である。
対戦モードとキャンペーンモード(1人用モード)
この辺りまで調べると当然、現在楽しまれているFPSの大部分がプレーヤー対プレーヤー(PvP)であることに気づく。
Since the genre’s inception, advanced 3D and pseudo-3D graphics have challenged hardware development, and multiplayer gaming has been integral.
First-person shooter – Wikipedia
そしてFPSの原点であるDOOM、さらに言えば最初期のビデオゲームであるMaze War(1974/Steve Colley, Greg Thompson 他/PC)で既にファーストパーソンでのプレーヤー対プレーヤー対戦モードが存在している。
1970年代から1980年代にかけて、PLATO上で様々なマルチプレーヤーのオンラインゲームが作られた。「スタートレック」に基づいた Empire、フライトシミュレーションゲームの Airfight、戦車シミュレーションゲームの Panther、フリーセル(PLATOが発祥)、ロールプレイングゲーム「ダンジョンズ&ドラゴンズ」から着想を得て生まれたいくつかのRPG(dndやローグ)がある。Moria、Dry Gulch、Bugs-n-Drugs などはMUDの先駆けである。DOOMやQuakeのような一人称視点のシューティングゲームも人気を呼んだ。Avatar はMUDとして特に人気となった
PLATO – Wikipedia
ちなみにPLATOとは
初期のゲームプレイヤーの温床として、当時は2つのコンピュータネットワークが存在した。のちにインターネットやWWW(World Wide Web)へと発展する学術研究機関ネットワーク、ARPANETは、コンピュータゲーム開発の本拠地となった。また、1960年代初期にイリノイ大学で開発され、70年代に全米へと広がった構内ネットワークのPLATOは、当時の最先端テクノロジーを各地に届けるとともに、一部の最も熱狂的なゲームハッカーたちを引き寄せてきた。
ダンジョンズ&ドリーマーズ (ブラッド・キング, ジョン・ボーランド, 平松徹 (翻訳))- P.35
先に挙げた007 ゴールデンアイも実際に当時全体としてどう受け止められていたかは多くは想像を含むが、現状調べた限りでは、対戦で盛り上がったという話が多いように映る。
あと醍醐味となるのは最大4人でプレイできる「対戦モード」でしょうね。
よく遊んだのは確かチームデスマッチです。2vs2でキル数で勝敗が決まり、ジャンケンとかグットッパでチーム分けして、強い人と組めると勝利が確信して弱い人と組むとヒヤヒヤしました。
今やっても面白い!任天堂『64』昔ハマった”至高のソフト”まとめ
対戦モードが何より熱い。画面分割で最大4人までプレイ可能。様々なオプション設定ができて、ワイワイ楽しめる。
ゴールデンアイ 007 – ゲームカタログ@Wiki ~名作からクソゲーまで~ – アットウィキ
1人モードは簡単に流すとして、このゲームの最大のキモは
2~4人で行える対人戦が最大のウリと言っていいでしょう。
【ゲームレビュー】ニンテンドー64 007 ゴールデンアイ | 死ぬまでゲーマーでいたい!
この時点で、対戦のプレイでなければ片手落ちかそれ以上にFPSの理解から遠のくだろうとは思った。しかし自身にネットワーク対戦の環境がないため、ひとまずキャンペーンモードから始めることにした。
少々脱線して、特異な90年代日本のFPS作品群
上述のように初期の家庭用ゲーム機でのFPSを探したが、これらを並べてみて面白かったのは90年代の【日本の家庭用ゲーム機におけるFPS】作品群だ。
ひとつは、アメリカ・ヨーロッパで制作された作品群は明確にDOOMやQuakeを参照しているものが多いのに対し、日本で制作された作品の多くでDOOMの系統とみなしていいのか判断しづらい。
DOOMというよりはアカラベス(1979/Richard Garriott/PC)、ウルティマ(1981/Richard Garriott/PC)やウィザードリィ(1981/Sir-Tech Software/PC)のようなダンジョン探索を元に、初期3Dハードウェアの描画性能を勘案してプレーヤーキャラクターを描かなくて良い手法としてのファーストパーソンが選ばれた結果なのではないか。
実際PS2以降に移植された魔剣Xやガンダム外伝ではTPS(サードパーソンシューター)に変更されている。
二つめは【ロボットの操縦】という形式での一人称視点。
ガンダム以前よりロボットアニメが定着している日本では、【ロボットの操縦】のための一人称視点が自然に受け入れられやすい土壌があったことは想像に難くない。
ガンダムをはじめとして、ダイダロス、スペースグリフォンVF-9、キリーク・ザ・ブラッド、ガングリフォンなどが【ロボットの操縦】でのFPS。
そうなるとプレーヤー自身の視点だが実際にアクションを起こすのがロボットであるので、FPSから除外したエースコンバットなどのフライトシミュレーターや、さらに迷った末に加えたデススロットルのようにドライブゲームもこちらの仲間のようにも見えてくる。
このあたりの作品は改めて掘ってみたい。
参照
- ファーストパーソン・シューティングゲーム – Wikipedia
- First-person shooter – Wikipedia
- 日本でFPS/TPSがこんなに人気になるなんて! 主要eスポーツタイトルを見てみよう|謎部えむ|note
- PLATO – Wikipedia
- 今やっても面白い!任天堂『64』昔ハマった”至高のソフト”まとめ
- ゴールデンアイ 007 – ゲームカタログ@Wiki ~名作からクソゲーまで~ – アットウィキ
- 【ゲームレビュー】ニンテンドー64 007 ゴールデンアイ | 死ぬまでゲーマーでいたい!