あわたま

review: あわたま – タッチペンと「吹く」動作の相性の良さ[Nintendo DS]


  • タイトル / あわたま
  • title / Soul Bubbles
  • プラットフォーム / Nintendo DS
  • 発売日 / 2009.7.16
  • 発売 / インターチャネル, Eidos Interactive
  • 開発 / Mekensleep
  • デザイナー / Olivier Lejade, Omar Cornut
  • ジャンル / 2Dアクション・パズル

Overview

魂を詰めたシャボン玉を吹いてゴールまで誘導する2Dアクションパズルゲーム。フランスの【Mekensleep】というスタジオによる作品。

シンプルに見せるデザイン

シャボン玉の【軽い】【割れやすい】という特性がそのままゲームのルールとして了解されていることで、【独特の操作】が自然と受け入れられる。ここでの【独特な操作】とは、プレーヤーが操作するのがキャラクターやオブジェクトそのものではなく、【息(風)】である点だ。タッチペンで【吹いて】シャボン玉を転がしていく。
シャボン玉には魂を7つ詰めており、これがそのまま【ライフ】となる。魂は、シャボン玉が割れた時一定時間放置すると消滅するが、1つでも囲んでシャボン玉に詰め直せばプレイは続けられる。ゴールまでの時間によるランク評価はあるものの、時間制限があるわけではないので、自身のペースで進めればいい。とはいえ、あーだこーだと30分くらい迷ってようやくゴールにたどり着いたステージや、上下左右スライドしまくり息を切らせてたどり着いたゴールもあった。

タッチペンで感じる息切れ

プレイしていると【タッチペン操作】と【吹く】という動作がとても自然なことに驚く。DSに「タッチ操作があるから」搭載した感はない。自然と息を吹く感覚でタッチペンを動かしている。
そして息切れ。「もう少し先まで運びたい」けれど、そのまま吹き続ければ息切れする。その時、操作しているタッチペンに自然と力が入っていることに気づく。息が切れたら「ハーッ、ハーっ」と呼吸を整えなければならず、その間にシャボン玉は風に吹かれて今来た方向に押し戻されている。「あとちょっと」を吹き込む感覚や、息切れでペンを離す感覚が思いの外かみ合っている。これは本作ならではの体験だろう。
なるべく息切れしないようにと、細かなペンスライドで運ぼうとしている間、息継ぎを意識している自分がいた。

日本版のローカライズ

本作が日本で発売されるにあたり、キャラクターが変更されたという話は目にしていた。「スーパーサイヤ人のSoul Bublesが日本に上陸」という表現は、ドラゴンボールを知っている世代には見事に納得されすぎていて笑ってしまった。

Super Saiyan Soul Bubbles is making its way to Japan

Super Saiyan Soul Bubbles is making its way to Japan

ただ、レベルデザイン(難易度を含む環境設計)にまで変更があったことはプレイ後に知った。

they re-worked a few of the levels, tweaked the difficulty curve, and added a second save profile.

Super Saiyan Soul Bubbles is making its way to Japan

Nintendo DSはカートリッジに関してはリージョンロックがないようなので、機会があればオリジナルをプレイしてみたい。

プレイしていて思い出した作品

ロコロコ(LocoRoco)

  • プラットフォーム / PSP
  • 発売日 / 2006.7.13(JP)
  • 発売 / SCE
  • 開発 / SCEジャパンスタジオ
  • ディレクター,デザイナー / 河野力
  • ジャンル / 2Dアクション・パズル

「柔らかいオブジェクトを間接的に誘導してゴールまで運ぶ」と文面にすると同じに思える作品として、LocoRoco(2006/SCEジャパンスタジオ/PSP)を思い出した。同じような感想を持った人もいたようだ。

Loco Roco a t-il été une source d’inspiration?

«Soul Bubbles», un jeu gonflé

作品を説明しようとすると似ている。そして、これらを好むプレーヤーも近いかもしれない。制作者のOlivier Lejade氏もLocoRocoの存在は知っていたようだが、似せたわけではないと回答している。

Soul Bubbles était déjà en production depuis un an et demi quand Loco Roco a été publiquement annoncé. Donc non, Loco Roco n’a pas été une source directe d’inspiration, en revanche ils nous ont poussés à donner le meilleur de nous-même dans la mesure où ils ont fait un excellent travail qui plaçait la barre très haut.

«Soul Bubbles», un jeu gonflé

似ている気がするのに、実際プレイしてみると別物という不思議な感覚。LocoRocoは後にPS4に移植されるものの、元はPSP用に開発された作品である。
主な操作は【LRのボタンと○のジャンプ】のみで、手にしたPSP上でコロコロと転がる様は、固定ディスプレイのPS4での体験とイコールではない。同様にあわたま(2009/インターチャネル, Eidos Interactive/ニンテンドーDS)もDSのペンでのタッチ操作ならではの体験だ。iOS、Android版も進行しているという記事は見つかるものの、現在日本のアプリストアでは見つからなかった。

Quoi qu’il en soit, il faudra encore attendre pour profiter de cette petite perle de la DS sur nos téléphones puisque Soul Bubbles devrait arriver sur iOS en mars 2012 et peu après sur Android et Bada.

Soul Bubbles : le jeu DS prévu pour iOS et Android – GAMERGEN.COM

指でのタッチ操作では自身の指によって多くのものが隠れてしまうので、どのように変更したのか見てみたかった。

加えて、DSのエレクトロプランクトン(2005/インディーズゼロ,任天堂/ニンテンドーDS)との類似を指摘している記事を見かけた。

it’s a fair bit reminiscent of PSP game LocoRoco (it shares its safe, curvy, organic environments), albeit with a very different method of control, and also has the touch of Electroplankton about it.

Soul Bubbles | Articles | Pocket Gamer

エレクトロプランクトン

  • プラットフォーム / Nintendo DS
  • 発売日 / 2005.4.7(JP)
  • 発売 / 任天堂
  • 開発 / インディーズゼロ,任天堂
  • ディレクター,デザイナー / 岩井俊雄
  • ジャンル / メディアアート, ループシーケンサー

エレクトロプランクトンはメディアアートと括られていたりもするけれど、端的に言えば【ループシーケンサー】である。一定のルールに基づいた10種のループシーケンサー。
ディレクターの岩田俊夫氏は2007年にYAMAHAからTENORI-ONというループシーケンサーのハードウェアを発売している。(先ほど調べたところ、TENORI-ON(2001/?/ワンダースワン)ははワンダースワンで発売された作品が元にあることを知り驚いた。)あわたまエレクトロプランクトンのタッチ感覚に似ているということだが、この指摘に関してはどのパターンを指しているのかはわからなかった。

さらにこれらとは別に「似ている作品を見かけたことがある」と思い調べて見つかったのがTales from Space: Mutant Blobs Attack(2012/DrinkBox Studios/PC)だ。

Tales from Space: Mutant Blobs Attack

  • プラットフォーム / PSVita, PS3, XBOX360, Nintendo Switch, PC
  • 発売日 / 2012
  • 発売 / DrinkBox Studios
  • 開発 / DrinkBox Studios
  • ジャンル / 2Dプラットフォーマー・アクション
    (STEAMにてPC版をプレイ)

Tales from Space: About a Blobの1年後に発売された続編。こちらはパッと見が似ていたが、プレーヤーが直接バブルを操作する明快な2Dプラットーファーマーアクション作品であった。

また、制作者のOlivier Lejade氏へのインタビューで「影響を受けたゲームがあるか」と問われ、ICO(2001/SCE/PS2)、大神(2006/クローバースタジオ/PS2)、塊魂(2004/ナムコ/PS2)を挙げている。

The sense of empathy you got from Ico, the strong visuals of Okami, the quirkiness and sheer joy of playing Katamari Damacy, the intuitiveness and simplicity of old 2D games… We had these and many more in the back of our mind while we were working. Our hope was to create something really unique and personal that would stand out just like these games did.

Mekensleep talks Soul Bubbles, how it was inspired by Ico, Okami and Katamari Damacy | Articles | Pocket Gamer

ICO

  • プラットフォーム / PS2(PS3 remaster)
  • 発売日 / 2001.12.6(JP)
  • 発売 / SCE
  • 開発 / SCE
  • ディレクター・デザイナー / 上田文人
  • プロデューサー / 海道賢仁
  • ジャンル / アクションアドベンチャー

大神

  • プラットフォーム / PS2, Wii(PS3, PS4, XBOX ONE, Nintendo Switch, PC remaster)
  • 発売日 / 2006.4.20(JP)
  • 発売 / カプコン
  • 開発 / クローバースタジオ(PS2), レディアットドーン(Wii)
  • ディレクター / 神谷英樹
  • プロデューサー / 稲葉敦志
  • デザイナー / 柴田洋
  • ジャンル / アクションアドベンチャー

塊魂

  • プラットフォーム / PS2(Nintendo Switch, PC remaster)
  • 発売日 / 2004.3.18(JP)
  • 発売 / ナムコ
  • 開発 / ナムコ
  • ディレクター / 高橋慶太
  • プロデューサー / 藤田光成
  • デザイナー / 柴田洋
  • ジャンル / アクションパズル

インタビュー中に挙げられたタイトルであり、直接的な影響というわけではなさそうだけれど、ユニークな体験を目指していることは見て取れる。

参照